患者はどこから情報を得るか

「線維筋痛症は治らない」という学会と友の会

相談にくる患者さんの多くは「線維筋痛症は治らない」と信じていますが、治らないというのはうそです。明らかにうそなのですが、あまりにも平然と「うそ」を言う人がいるために、治らないと信じて相談に来る人が多いのです。
治らないと信じているのは、線維筋痛症学会や線維筋痛症友の会が、薬なしで治った人の例を情報として出さないからでしょう。私は、薬なしで治る事実そのものが都合が悪いので、患者さんの耳に入らないようにしているのだと解釈しています。
ですが、薬を使わずに回復した私の症例が、学会の前身である研究会で発表されていますから、知らないわけではないのです。(お灸や体をよく暖めFMを回復させている)斑目医師は、以前は私の主治医で、「やはりこの病気は治る」事実を目の当たりにし、翌年には体を温めるやり方で回復した患者さんの症例を発表しています。
私が見るところ、薬なしで治ることを知られたがらないのは、薬を処方する医師たちです。

先日(2015年8月)、Eテレで線維筋痛症の短い特集があり、N病院のM医師が解説していました。私はこの医師にもかかったことがありますが、医師から処方された薬で、ものすごい副作用が出ました。
薬を飲んでから極度に状態が悪くなり、ほかの方法はないのかと思い、この医師に相談したところ、それまでとは違う薬を、また同量以上処方されました。
私はこれほど副作用がひどいと訴えても、薬以外の道を模索しない医師のやり方に失望し、薬を飲んでさえ、これ以上ひどい状態はないというほどの「どん底」なのだから、もし薬を飲まなくても、これ以上悪化することはないだろうと考え、すべての薬を止めてみました。
すると、めまいと痛みで車椅子にも乗れなかった状態から、翌日からは15分歩けるようになり、一時的に非常に回復しました。
それ以来、薬はほとんど飲まず、それ以外の方法で回復しています。

友の会も、私は発足から間もないころの会員でしたから、2007年当時、かみ合わせ治療で回復したことを知らせなければと、当時は存在した友の会HPの掲示板に、回復した経過を詳しく投稿しました。すると驚くべきことに、掲示板に「治ったという情報は友の会の利益に反する」といった投稿が殺到しました。 ですが、患者には当然「治る権利」がありますし、当然、「治る方法を知る権利」もあります。ですからこれは、一般の理解を超える反応でしょう。
私の他にも、薬なしで治ったことを友の会に知らせようとした人がいますから、彼らが薬以外の方法で病気が治ることを知らないわけではないのです。

表に出てこないのはもう一つ、薬の副作用と、処方される薬には依存(中毒)の危険があるという、 薬に関するマイナス情報です。
もし基礎医学書を読み、線維筋痛症がCSSの一つであることが理解できれば、患者が 薬に過敏になりやすいことは理解できるはずですし、私のように、常識を超えた激しい副作用が出る人も多いのも理解できるはずです。
ところが、世界的に支持されているはずの基礎医学書は軽視され、どれだけ副作用がひどいと訴えても、薬以外の方法は模索されず、あくまで薬の処方を続ける医師が多いのです。
副作用だけでなく、依存になると泥沼のような禁断症状が生じる危険についても、情報が出てきません。薬依存にならないために海外では長期投 与は禁止されてい るにもかかわらず、日本では医師から長期投与され、患者はまさか自分が依存になるとは思わず、病気の苦しみの上に果てしなく続く禁断症状、断薬、減薬の苦しみを背負わされています。

なぜこんなことになるのでしょうか。次の本は、大学図書館や大きな図書館に入っているので、興味のある 人は手にとって見てください。
「怖くて飲めない 薬を売るために病気はつくられる」(レイ・モイニハン他著 2006年出版)

「薬を売るために病気はつくられる」実際の例

ADHD(注意欠陥多動性障害)は、ラボHPの黒田論 文にあるように、農薬などの環境化学物質が主因であることがわかっている健康障害です。
原因が明らかになる前、アメリカ東部では広告会社と製薬会社とがタイアップし、医学的意思決定を行う少数エリート(核になる医師)と患者団体を取り込んで薬を広く売り込み、莫大な利益を上げました。当時はまだよくわからなかった子どもの症状を、医学的な意思決定を行う立場の医師(ソートリーダーと呼ばれる。 「種になる人」の意)が「病気」と規定して大々的に売り込み、患者団体と一体化し、覚せい剤のような副作用をもつ精神刺激薬を子どもたちに大量に売っていったのです。

日本の場合を振り返ると、新聞がFMを初めて記事にしたころ、「この病気の患者 は多く、薬のマーケットは800億」といった製薬会社のプレスリリースがネット上に発表されていました。
新しく患者友の会ができたのに次いで「ソートリーダー」のような立場の医師が学会をつくり、その学会トップは当時から、日本で認可されていなかった新薬「リ リカ」を、「多くの患者が治る夢の薬」のような形容で、マスコミに登場するたびに強調していましたし、患者たちに向かっても力説していました。患者会も製薬会社の治験に積極的に協力し、やがてリリカは保険適用になりました。
私自身は、当時からリリカが病気を完治させるものではなく鎮痛薬の類に過ぎないと理解しており、利益より害のほうが大きいのではないかと心配していました。その後、医薬ビジランスセンターの「薬のチェック」に、私の心配を裏書するさまざまなデータが出ました。(「医師が処方する薬で大勢の患者が薬物依存(中毒)に陥っている現状」ページ参照

(以下は、上記の本のなかで参考になった部分。)
「どの病気でも、ほぼすべて製薬会社にとって、患者団体と協力しあうことは販売促進戦略の鍵となってき た。・・・患者団体の3分の2が、製薬会社やメーカーから(直接、間接に)支援を受けていると推定されている。」
「(製薬)会社が私利私欲のないまじめな活動家グループに言い寄るのではなく、同じような考え方をもった者同士が連盟を組む形の場合が多い。問題は、たいていの場合、一般の人々がそういう背景に気づいていないことなのである。

日本でも、ほとんどの人がこのような背景に気づいていませんし、また、多くの人が気づかない陰で、病気を「ブランド化」して世の中に売り込み、新薬とセットにして薬を売り込むというこの方法は、さまざまな国で成功を収めているようです。

患者には「治る権利」がある

しかしながら患者には当然、「治る権利」があります。しかし薬以外で治っている情報が知らされず、薬の情報しか受け取れず、しかも薬のマイナス情報はもたらされないのでは、「治る権利」は無視されているのも同然です。知らされるべき情報を知らされないために、多くの患者は薬依存に陥り、筆舌に尽くしがたい苦労をしているといえます。

しかし当然ながら、アメリカにも薬の害を知り患者の治る権利を追求する、つまり「私利私欲のないまじめ な活動をしているグループ」はありますし、日本にもそういう患者団体はあります。
非常に特徴的なのは、「私利私欲のないまじめな活動」をしている患者団体ほど、日本ではテレビや新聞で報道されないということです。私自身、(ガンなどに関して)そういう(まじめな)団体を見つけては会員に紹介しているので、そのあたりの 選別が、とてもよくわかります。
またNPO市民健康ラボラトリーも、患者さんを助けるのが目的ですから、活動の自由を妨げる性格の資金は受け取らないのは当然です。

「言論カルテル」とは

このあたりの事情は、一度気がつくと、あれもこれもと、さまざまな分野で同じことが行われていることがわかってきます。
たとえば薬の害や医学界のうそを厳しく告発している内海聡医師や、薬害問題をずっと啓発してきた「医薬ビジランスセンター」が発する情報 を、新聞やテレビが 取り上げることはありません。(健康を害する危険情報は彼らが発信していますから、必要な人は、自分から情報を取りに行かなくてはいけません。)
知られていないことですが、患者の体験記も、新聞やテレビに出るものと、出ないものが非常によく選別されています。

日本では、テレビや大新聞に、薬や手術以外でガンが治った患者の記事は、絶対に載ることはありませんが、実は、三大治療以外の方法でガンが治った、医師に見 放された患者が、三大治療以外の方法で劇的に回復したという例は、掃いて捨てるほどあります。しかし、いわゆる「言論カルテル」のおかげ で、一般人はそれらの事例を知らされていないのです。
ガン以外のいわゆる「難病」も、薬で治らなかったのが食事療法などで治った例はたくさんあり、内海医師などは著書でそういう例を再々紹介しています。
探す気になればそういう例はたくさん発見することができますし、治らないといわれる病気から治っている人は、線維筋痛症だけではないのです。

なぜ、こういうことが起こるのか

福島で史上最悪の4基の原発事故が起こったあと、「日本はなぜ、原発と基地を止められないのか」(矢部 宏治著)という本が出て、知られざるベストセラーになっています。
「原発事故は未曾有の災害だったが、この事故のおかげで「原子力ムラ」の存在が明らかになった。と同時に、それ以外のさまざまな「ムラ」の存在が明らかになった」と著者は書いています。
それらの「ムラ」は、みな、政、財、官、学、マスコミがスクラムを組んだ相似形をしており、「ムラ」の利益を守るために、莫大な資金にものをいわせ、都合のいい情報だけ広めて都合の悪い情報は徹底的に隠す「言論カルテル」として機能しているというのです。(うまいことを言うと思います。)

このムラを医学界にあてはめると、内海医師の言う「イガクムラ」になります。
このムラが「莫大な資金にものをいわせ、都合のいい情報だけ広めて都合の悪い情報は徹底的に隠している」と考えれ ば、私たちの理解を超えるできごとも、よく理解できます。しかし、一度ムラの存在に気がついた人は、自分で情報を取りに行くようになるのです。
上記のように、既存の療法ではない流れに自分で分け入り、自助努力で助かっている患者は大勢います。そういう例を知らないのは、いわゆる「ムラ社会」の情報に流され、自分自身の目で見つけに行っていないので見つからないのです。

ちなみに、テレビや新聞が決して取材しない内海医師の存在は、すでに大勢の人が知っており、フェイスブックのアクセス数は全医師のなかで日本一、日本人全体でもベスト10に入っています。
ベンゾ系薬の依存の恐ろしさやステロイドの深刻な害についてテレビを見ても何もわからないなら、自分で情報を取りに行かなくてはいけないですし、私が主催するHPやラボのHPには、そのようにして情報を取りにきた人のために、マスコミに載らないさまざまな情報を載せています。

医師も疲れている

しかし、上記の事情に気づかないで生活してきた人は、他に頼るものがないので、「医師に見放された らどうしよう」と不安になるでしょう。しかし、医師もさまざまな問題を抱えています。

日米の医学事情に詳しい崎谷医師は、「新・医療ビジネスの闇」という名著のなかで重要なことを書いています。
「医師は、巨大製薬会社とその傘下にある医学会によって決められた治療計画(ガイドライン)に 沿って、ベルトコンベアー方式で患者さんを処理するだけの請負人でしかない」

つまり医師は、学会が決めたガイドラインに縛られ、その結果、患者が薬中毒になろうと臓器が損なわ れようと、「知ったことではない」(内海医師)という立場におかれてしまっているということです。
崎谷医師はこれについて、「現代の医学界とは、ほとんどの医師が、自分の生活や欲のために良心をか なぐり捨て、患者さんをあくまで数字、マテリアル(←利益をあげるための材料という意味)として扱い、悪魔になりきらないとやってら れない世界」とも書いています。
しかし、このような世界 は、患者の治る権利や基本的人権を踏みにじっているだけでなく、医師側の人権や、患者によいことをしたいと思う気持ち、それを優先する心を踏みにじっているとい わざるを得ません。
処方した薬で患者が依存になって苦しんだり、消化器をやられて死んでしまっても心が痛まず、平気で いられる医師はいいですが、この、「悪魔になりきらないとやっていられない世界」に疲れきっている医師は、じつは大勢います。

また、それとは別の問題もあります。
FMに関する基礎医学書が初めてアメリカで2005年に出版され、私自身がこの本の存在を知ったのは2007年でした。
私は本中にある中枢感作の図を見て、自分の病気の正体はこれだと確信しました。6000本からの各国語で書かれた研究論文を踏まえた、この病気を理解するためには重要な本です。しかし、和訳が出ていないのでは日本の医師は読めません。

私は少しでもこの本が医師の間で広まり、研究が進み、自分が回復したかみ合わせ治療も、さらに多くの研究者が参加して患者のための研究が進むようにと願い、自分でHPを作り、自分が回復した治療も含め、本の詳しい内容を紹介していきました。
しかし、なかなか医師の間に内容が広まらず、和訳が出ればもっと広まるのではないかと思い、私は和 訳出版の可能性を求めてあちこち問い合わせをしてみました。
そしてこの基礎医学書に詳しい「線維筋痛症がわかる本」を出している戸田医師に問い合わせたところ、「この本が出版されても、日本の医者は誰も読まない。自分がその中にいるからわかる。断言できる」と言われたのでした。

私はそれまで、とにかく教科書のようなこの本が和訳で出版されれば、きっと日本の医師は争って読んでくれて病気の認識は広がると思っていました。ですからそのときの唖然とした気持ちを今でも忘れることができません。また、それと同じことを「線維筋痛症とたたかう」という本を出した編集部の人からも言われました。
「日本の医師は忙しくて厚い本は読まない。せいぜいA4一枚くらいしか読まないです」
調べてみると、日本では基礎医学に取り組む医師の数は激減しており、医師が読まないので基礎医学書は売れないのです。ですがそれでは病気のメカニズムや抜本的な治療法を求めることはできず、できるのは、薬で症状を抑える対処療法だけです。しかしそれでは、薬なしの健康体になるという、患 者の要求にこたえることはできないのです。

患者にもできることがある

上記のように、ガイドラインにがんじがらめに縛られ、基礎医学書も読んでいない医師に依存する以外に、果たして方法はないのでしょうか。
他の治らないといわれる病気、たとえばガンに関しては下記のようなHPがあり、190万回を超える近いアクセスがあります。

「ガン、癌、代替療法,ガン患者学」
http://www.d4.dion.ne.jp/~doi-jimu/soudan.htm

ここに書かれているような事実を知り、自分でも勉強をしてさまざまな情報を取捨選択し、また(薬な どの害を知り、医師主導ではなく患者自身が勉強して治る手助けをする)患者団体に入って、自分自身で病気を治している人はたくさんいます。
ですから、線維筋痛症やCSSも、治った患者の経験を積み上げ、そのなかでやり方を選択し、さまざまな療法を試していくことで経験値を上げ、自分で自分を治していくことはじゅうぶん可能なのです。

どこから情報を得るのか

さきほどのEテレの番組で、M医師は、FMは薬 で6割治り、後はラジオ体操がいいといっていました。(当然、ベンゾ系薬の危険性などは言いません。)
私はM医師が、あまりにこの病気をなめているというか、簡単に考えているのであきれました。
どん底の状態に長い間苦しみ、試行錯誤しながらほぼ完治にいたった患者から見て、断じて、そんなに簡単な病気ではないことはいうまでもありません。ラジオ体操で重症患者が画期的によくなるなら苦労はしません。ストレッチもただ漠然とやっているだけでは回復しません。体を改築するというか、変化させることが重要なのです。回復するには、もっと病気の知識と、日々の知的な作業が必要です。
実に、この医師には本気で治す気があるのか、どうしたら治るのかを本気で考えたことがあるのか、根底から疑問に思わざるを得ないコメントでした。

治った患者から見れば、基礎医学書も読まず。治った患者から経験を聞くこともしていない人(医師) が、この難しい病気を完治(薬なしの元どおり)させられるのか、非常に疑問です。
新しい病気であるからこそ、治った患者の経験が重要ですし、本当に治りたいなら、本当に治った患者 の知識と経験こそが、勇気づけられると同時に、とても参考になります。

新しい病気であるFMやCSSに関しては、「病気の特性をわかった上で回復に有益と思える情報」が、一般には少ないのです。基礎医学書が読まれていないので仕方ないともいえますが、一見、有益と思えるものも、脳が過敏になり閾値が低くなっているという病気の特性を考え、それに合うように応用しなければいけません。一般の治療がかえって悪化を招くこともあります。だからこそ、治った患者の知恵と経験が大事なのです。

「医師がこの病気をわかっていない」例

FMを診る という医師の中には、「患者が痛みに敏感になるのは当然のことで、(中枢が過敏になる)という定義じたいが無意味」という医師もいますが、何も分かったことになっていません。
先に書いたように、FMの場合は手を動かすことすら刺激になり凄まじい痛みが出る、CSは水道水にすら反応して激しいめまい、動悸が出て立ち上がれない状態になるなど、これまでの医学常識を超越する症状が出ます。しかしこれらが、従来の医学知識しか知らない医師の理解を超えるので、患者の凄まじい状態を、あえて過小評価しているというふうに見えます。
病気の内容や症状が理解できないために、ラジオ体操だのストレッチがいい等、患者から見れば原始的 レベルの認識に終始しているともいえるでしょう。

これまでの医学常識を超える病気なのに、基礎医学書も読まず治った患者から何も学ばないのです から、病気の理解がなされていないことを痛感します。

新しい流れ

上記のように、「患者を売り上げのための数字と考え、悪魔になりきらないとやってられない世界」に疲れた医師は大勢います。また、そういう医療に幻滅した医師が、末期ガンから治った患者や西洋医学以外の治療家と協力しあって新しい医療を提供し、患者の治癒に貢献しているケースもあります。
(そういった、「ムラ」の利益にならない情報は、「言論カルテル」から排除され、決して新聞やテレビには出ません。)

ほかの病気ではそういうモデルがすでに存在していますから、新しい病気であるFMやCSSも、基礎医学書から学ぶとともに、治った患者の経験と知恵を蓄積することが必要です。
私たちNPO市民健康ラボラトリーは、そのような方向、すなわち、病気を治せない医師に依存せず、「自分自身で病気を治す」ことの実現をめざします。

本当に治りたいのであれば、ネット上で得られない知識が必要です。
私のHPやこのHPではさまざまな情報を公開していますが、正直、これだけでは足りません。
会報には回復・完治した例も載せていますが、個人情報を守るためもあり、ネット上で公開していませんし、そのほかにも回復のため の詳しい手がかりや知識も必要です。(多岐にわたるので資料を作り、会員には送付しています。)

かみ合わせ治療以外でも完治した例はいくつもあります。それらも含めて、さまざまな資料を検討して自分に合うものを選び、それを組み合わせていくことで、回復への道が開けてきます。
ネット上で公開されている情報だけでは足りないですから、治りたい人には入会を勧めます。

医学部では習わない新しい病気ですから、新しい知識や治った患者の知識を得たい医師の入会もできます。(個人情報は漏れないように厳守しています)(文責 小田)

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