患者の声「刺激源を避け、噛み合わせ治療や栄養治療などで徐々に回復」

電磁波過敏症(略語はES)

患者は人口の数%いるという調査も

電磁波環境研究所の荻野晃也先生によれば、日本の電磁波過敏症患者は、人口の数%、あるいはもっといるのではないかとの推測がなされています。

スウェーデン保健福祉庁のマーチン・トンデル氏によると、日本よりも電磁波規制基準の厳しいスウェーデンで、’99年と’07年に調査を行った際、電磁波過敏症を訴える人が3%いたそうです。

また、同じような調査をしたいくつかの国でも、人口の2~8%の患者が存在していました。

仮に、日本人1億2千万人の3%が電磁波過敏症だと仮定すれば、日本人の360万人が電磁波過敏症である可能性が出てきます。

つまり、この病気の患者も、一般に思われているよりはるかに多いのです。

病院にいっても原因がはっきりせず、原因不明と言われたありふれた頭痛、耳鳴り、不眠が、じつは携帯基地などが発する電磁波が原因だったということがあり得ます。

今の医学部教育では、発がん性も含めた電磁波のリスクについてはまったく教えないので、医師自身が電磁波のリスクについて知らないことがあり得るのです。



患者 江藤きくよ(市民健康ラボラトリー・理事)

電磁波過敏症の江藤きくよです。まず、この病気の患者として情報を発信し続けている加藤やすこさんの著書から引用します。

「世界的に増えている電磁波過敏症とはどんな病気ですか」

総務省が、ユビキタスネット社会(どこにいてもネットを通じて情報をやり取りできる社会)を目指していることから、電磁波発生源も、増加する一方です。

今後も、生活環境の電磁波はますます増え続けるでしょう。


電磁波の被曝量が急増する中で、「電磁波過敏症」という病気が世界的に増えています。

携帯電話やパソコン、家電製品などから発生する電磁波に、ほんのわずかでも被曝すると頭痛やめまい、吐き気、不眠などさまざまな症状が現れます。花粉症は、普段は何ともなくても、花粉を吸いこんだり触れたりすると鼻水が出たり目がかゆくなったりしますが、それと同じように、電磁波過敏症も電磁波に被曝すると症状が現れます。


また、建材や化粧品に含まれる化学物質に反応して、頭痛や吐き気などを訴える化学物質過敏症を併発する人も少なくありません。

『ユビキタス社会と電磁波』加藤やすこ著P50より

「私の発症」

2012年3月に発症しました。

最初はまだ寒い時分でしたので嘔吐下痢症かなあとムカムカ感から始まりました。

4月下旬には頭痛に変わりました。

4月7日に我が家の後ろのアパートにオムニバス型と言われるフォークのような形のPHS基地局があることに気づきました。

6年間そこにあることを、発症するまで気づきませんでした。

さらに家から80mくらいの小学校の近くには10年以上前から携帯電話基地局のタワーがあることに気づきました。

鉄塔があるのは知っていましたが、それに携帯電話基地局がついていることは全く知らなかったのです。

たまたま裏のアパートのオーナーが縁ある人で、私が困っていることを伝えると丁度契約更改時期に来ているので契約を解除しましょうと言ってくださいました。

PHS基地局が撤去されてからは症状はかなり緩和されましたが、完治したわけではありません。

今でも都心で強い電波を発するオムニ型の近くに行くと強い頭痛を感じます。

症状がひどい時は、基地局の方を向いた頭の部分が痛い、締め付けられるような感じがする。

基地局の近くを通ると歯の金属の詰め物が反応する、耳が痛い、耳鳴りがしました。

近くに大型ショッピングモールが開店した時は通信が多かったのでしょう、夜横になってもなかなか寝付けないほど頭痛がしました。

2012年8月からは軽く化学物質過敏も併発しています。

知人を送って駅まで行って新幹線が発車するまでの8分、車内で話そうと思って座ったら前の席の男性がスマホを操作し始めた途端激痛がして飛び出さなくてはいけませんでした。

ですから、現在は旅行(出張)ができない状態です。

コンサートホールなど人が集まるところでは強い頭痛がします。

皆さんお願いです。コンサートホールなど通信できないところでは、(望むらくは公共の乗り物や役所、病院の待合室などでは)私のような人のために携帯やiPadなどの無線通信機器の電源は切ってください。


「対処法」

携帯電話は契約を解除しました。

電子レンジや電気オーブン、トースターはできるだけ使わないようにして、家人が使う時はできるだけ距離を取るようにしています。

家庭用FAXから子機に電波を飛ばすアンテナは「家の中に基地局を建てているようなもの」と言われるように非常に強い電波が出ています。

昨年はまだ家電量販店にコードのついた電話機を売っていましたのでそれに取り替えました。(今はNTTさんがコード付き電話をあつかっているようです。ブラザーさんにアナログ電話があるそうです。)

IH炊飯器が作動している時は磁場が振り切れるほど高いのでガス釜に変えました。

冷蔵庫がブーンと鳴りだすと頭痛がしますので、電気屋さんにアースを取ってもらいました。

TVが人体により有害な地上デジタル波になって、みなさんの周囲に携帯基地局が林立する時代になりました。

家の中の電化製品のアースをとるということは、皆さんの健康にとって、とても重要です。

電磁波測定士さんによると、お医者さんはオールアース住宅に対する関心が非常に高く、オールアースの家を建てられる方も多いそうです。

電磁波測定士さんは、家庭内の新型化してより電磁波が強くなっている電化製品からアースをとって電磁波を低くされたり、家を建てる時に必要以上の電磁波が家の中に入ってこないような仕様を提案されたり、できるだけ電磁波曝露が少なくなるような配線を考えてくれます。

「電磁波の発がん性」

2011年5月WHOの下部機関IARC(国際がん研究機関)は、高周波電磁波も発がんの可能性ありの「2B」に指定しました。

企業からの圧力がある中でこれだけの指定をし、研究が進めば さらに発がん性のランクは上がっていくと推測できます。

また、電磁波には不妊や精子の減少との関連も指摘されています。電磁波は非電離放射線ですから不妊との関連性もあると推測できます。内分泌をかく乱する化学物質も次々に開発され世に出ていますし、遺伝子組み換え食品も多用されていますから、その影響もあり得ますが、この20年に不妊患者が激増しているのは、携帯電話の普及の20年と全く無関係でしょうか。

今後の解明が待たれますが、あらかじめリスクを避けるに越したことはありません。

「電場磁場を下げるために」

ノルウェーの友達が36年前に家を買った時、コンクリートの部屋、地下室、湿気が多い部屋にはアースを取らないといけなかったのが、今は全ての部屋でアースを取らないといけなくなったそうです。

これが現代の正しい家のあり方でしょう。取り組みが遅れている日本でもこのような対策が必要な時代になっています。

家電からのアースについては、当会の小田代表の事務所でも、強い電場磁場を計測したコンピュータ周りの電場磁場を下げていただくため全国電磁波測定士協会(℡047-325-7747)にお願いし、エルマクリーンという器具を使って下げていただきました。

「その他の対策」

私の寝室には電磁波を遮断するカーテンを下げています。

アースを取らないといけないというお話もありますが、カーテンからアースを取るのは現時点では難しいのではないかと思います。

フルモト商事さん(℡06-6456-1680)でシールドクロスなど購入できるようです。

電場、磁場に曝露して体調が悪い時はお風呂に塩を入れて入浴すると いくらか楽になりますが、風呂釜は傷むそうです。

加藤やすこさんの『電磁波・化学物質過敏症対策』(緑風出版)が参考になります。

加藤さんの「いのち環境ネットワーク(旧VOC-電磁波対策研究会)」のサイトも大変参考になると思います。

「治療」

2013年7月から当会代表の小田さんを治療された顎関節症治療の山田貴志先生より噛み合わせの治療を受けています。

噛み合わせを直す装置を噛んでいると基地局の近くでの痛みも少し良いように感じます。

歯から金属の詰め物を除去する治療もあるようです。最寄りの歯医者さんに相談したらセラミックの歯に入れ替えるとのことで、歯の根っこが丈夫な私には向かないのかなあと思います。金属除去専門の歯科に相談されるのが良いかと思います。

やはり、小さな子どもさんには、成長した後、私のような症状を招かないように虫歯で金属の詰め物をしたりしないような注意が必要かもしれません。

歯科で使われるシーラントなどの物質から全く環境ホルモン(内分泌かく乱ホルモン)が出ないかは分かりません。

当市民健康ラボラトリーからの紹介で水素水を飲んでいて、化学物質過敏がいくらか良いように感じます。

他に材料にこだわりコマーシャルに載せない酵素も服用しています。

小田さんも指摘されているように、電磁波過敏症はCSS(中枢過敏性症候群)だと思われます。

頭痛にはセロトニンという物質が関わっているようで、栄養素の不足などでセロトニンが適正に分泌できていないということもあるのかもしれません。

分子栄養学に立脚されたお医者さんからサプリメント治療もしていただいており、新宿溝口クリニックさん(℡03-3350-8988)にお尋ねになると、みなさんのお近くで栄養治療をされているお医者さんを紹介していただけるのではないかと思います。

「スマートメーターなどの電波を出す情報通信方法について」

さて、国は家庭などの電気メーター、ガスメーター、水道メーターを「スマートメーター」に置き換えていく方針で、2013年に経済産業省が各電力会社にスマートメーターの前倒し導入を指示し、東京電力も2014年度からの本格導入へ向けて始動しています。スマートメーターは携帯電話会社の携帯基地局などを利用して、使用量などを、従来の有線ではなく、無線で通信しようとしていますが、このような無線通信が増えると環境中の電磁波はより強くなることが予想されます。

すでに導入が進んでいるアメリカでは、「電磁界安全ネットワーク」のウェブサイトに見られるようなスマートメーターによる健康被害の訴えが数多く載せられています。(「電磁波研会報 No.83」より)

フリーライターの鶴田由紀さんが、アメリカのTVニュースに字幕をつけておられる下記の動画が大変参考になります。

オーストラリアでは、スマートメーターへの交換を強制した州がある一方、強制反対運動の盛り上がりによって、強制をしないことにした州があるそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=tjv2hqBtez8

また、アメリカでスマートメーターが原因とみられる火災が発生しているとのことです。
https://www.youtube.com/watch?v=_583Uj3gQNg

スマートメーターの電波を送信する頻度は、電力会社が公表しているよりもはるかに多いとのことです。
https://www.youtube.com/watch?v=rEy-SpZX2Rs

電磁波過敏の私は、スマートメーターが普及すれば、周辺の電磁波が強くなり、ますます外に出づらくなるだろうと思います。

中枢性感作症候群の人が電磁波過敏も発症することは少なくありません。スマートメーターの普及は電磁波環境を悪化させるものです。

安易にスマートメーターに交換することの危険性を痛感していますが、国民生活センターの消費者ホットライン(℡0570-064-370)に尋ねると、「将来は従来型のスマートメーターは製造しなくなる。死ぬような症状ではない。」という回答です。

電磁波環境研究所の荻野晃也先生によれば、日本の電磁波過敏症患者は数%、あるいはもっといるのではないかと推測されます。

スウェーデン保健福祉庁のマーチン・トンデル氏によれば、日本よりも電磁波規制基準の厳しいスウェーデンで’99年と’07年に調査を行って、電磁波過敏症を訴える人が3%おり、同じような調査をしたいくつかの国でも2~8%存在するということです。

仮に1億2千万人の3%が電磁波過敏症だとすれば、日本人の360万人が電磁波過敏症である可能性が出てきます。

スマートメーター導入で困る人が沢山いるということを消費者庁に知ってもらわないといけません。

是非、みなさんも消費者ホットラインにお電話してください。

「最後に」

蛍光灯が壊れたのでうっかりLEDを買うと具合が悪くなってまた残り少ない蛍光灯に買い換えたり(知られていませんがLEDは電場が強いそうです)、液晶型のインターフォンでも痛みを感じたり、電化製品が進化すればするほど電場磁場が高くなっているのではないかという実感を持っています。

私どものような消費者のニーズに応えてくれるメーカーが出てくることを願っています。

私たちの健康を守り、これ以上不妊患者を増やさない、若い人に健康な生活を送ってもらうために便利さにばかり走らない生き方を示して行かねばならないのではないでしょうか。

最後に水俣病をテーマにした絵本『みなまたの木』をかかれた三枝三七子さんの言葉で終わらせてください。

「みなさんは便利なことを当たり前と思わないでください。みなさんの便利はだれかの犠牲の上に成り立っています。」

ページのトップへ戻る
inserted by FC2 system