リリカの有効性、安全性、副作用について

はじめに

まず確認すべきなのは、薬を飲むか飲まないかは、患者さんに決める権利があるということです。それと同時に、患者さんには薬の害作用や依存性の危険を知る権利もあります。
東大病院総合内科医だった岡部哲郎医師は、「驚くことに、専門医の大半は、薬会社から出されている薬の添付文書を読んでいない。そこに効能や使用法、副作用や禁忌についての詳細な情報が記されているのにも関わらず、である」と言っています。ですから、患者が薬の有効性のみならず、薬の副作用や禁忌について知ることは、何をおいても大事なことなのです。

リリカの保険適用範囲は

リリカが健保適用になったのは、線維筋痛症の「疼痛」に対してであり、添付文書には、「線維筋痛症が完治する」とは書いてありません。つまり、完治させる薬ではなく、「病気に伴う疼痛」に健保が使えるようになったということです。
完治させる薬ではないですから、薬による副作用、害反応もたくさんあり、依存、中毒の心配もあります。海外の豊富な医学データベースを踏まえて薬判定をしている専門家からは、以下のような懸念の声もあります。
「医師が(リリカの)問題点をしっかり説明したうえで処方している状況であればよいのですが、優れた鎮痛効果で安全性が高いというメーカーの宣伝を信じ、節度なく処方されているという話も耳にしています。」

*NPO法人医薬ビジランスセンター(通称:薬のチェック)とは
「医薬品、及び医薬品の使用や医薬品の行政に関する情報収集、調査、研究を行い、その成果を医療関係者および市民に還元することにより、薬害を防止する、科学的に確かな根拠に根差した患者、市民にとって意味のある適切な医療の普及をはかり、医療の向上に努める」(定款より)
理事長の浜六郎医師は、「25年に渡って実名で、危ない、効かない薬(薬とは言えない悪い薬、毒になりやすい物質)を批判してきています」が、「製薬会社から訴えられたこともありません」。
製薬会社の利益ではなく、患者・市民を薬害から守る立場から、薬の調査、情報還元を行っていると評価できます。

「薬のチェックは命のチェック」・・良い薬と悪い薬を見分け、良い薬を正しく使うために、患者(医療消費者)の身になって必要な情報を提供する。(創刊の言葉より)
この「薬のチェックは命のチェック」48,50号で、リリカが特集されています。

*48号「リリカは依存あり・睡眠剤・安定剤の仲間」一部引用

「注1。最近、線維筋痛症に伴う疼痛」に適応が拡大され処方が増えているが、・・医師も、本質的な作用・害について知らずに処方しているのが現状と思われます。しかも、すでにベンゾジアゼピン系の安定剤や睡眠剤が処方されている場合が多く、リリカの処方で安定剤・睡眠剤が追加になったと同じ影響が出ます。
リリカが適用になった(中略)痛みには、欧米では通常、三環系抗うつ系のアミトリプチリンなどがリリカよりもよく効き、第一選択です。しかし日本ではそれが認められていません。(そもそも、安価な為にメーカーが適応を申請しない!)そして代わりに、効果は乏しく、害が大きく、高価な新薬リリカが唯一、使える薬剤として承認されたのです。」

*50号「リリカの有効性と安全性を評価する」

(薬剤師による特集記事)
海外の医学データベースのデータを駆使しながら、リリカの有効性と安全性をバランスよく評価しています。(一部引用)
「日本や海外での臨床試験データや害反応の報告などを調べると、有効性はそれほど高くなく、安全性についても様々な問題がある薬剤である可能性が考えられました。」
「添付文書に記載されている、目眩い、眠気(各20%以上)、意識消失(0,3%)離脱症状、・・などは、まさにベンゾジアゼピン系薬剤と同様の害反応と考えられ、」「体重増加や浮腫(10%以上)重大な副作用には心不全((0,3%)・・などの記載があります。
これらは、リリカの作用機序であるカルシウムチャネル阻害作用が中枢神経細胞だけでなく全身の細胞にあるカルシウムチャネルに影響を及ぼした結果起きている害反応と考えられます。
カルシウムチャネルは、免疫細胞、血球系細胞、筋肉、ホルモン系細胞などさまざまな細胞の機能に関わるため、それらに影響を及ぼすことで後にいろいろな有害反応につながる可能性が考えられます。」
「眼障害は1%以上であり・・重要な基本的注意には、目が見えにくくなる、霧がかかったようになる・・等の視覚異常をチェックしながら服用する必要がある」
「有効性が安全性を上回る薬剤であるのか疑問が残ります。特にGABA作動剤とも考えられる離脱症状や依存についての報告も増えてきており、今後も注意深く監視する必要がある薬剤と考えられます」
*記事のもとになった具体的なデータは、上記の「薬のチェックは命のチェック」50号「リリカの有効性と安全性を評価する」をお読みください。

*34カ国加盟の国際医薬品情報誌協会加盟誌「正しい治療と薬の情報」(医薬品・治療研究会)にも、リリカの特集記事掲載

(第27巻2012年7月発行)
*海外の医学データベースから検索したデータより。「ガバペンチン(ガバペン)とプレガバリン(リリカ):乱用と中毒」*プレスクリル誌に掲載された、乱用、中毒に焦点を当てた報告を紹介
「ヨーロッパでは2011年ころ、プレガバリン(リリカ)による30例の依存、中毒、離脱症状が、スウェーデンとフランスの医薬監視センターと、欧州薬物・薬物中毒監視センターに報告された。・・最も頻繁に報告された異常は、離脱症状である。離脱症状のために半数以上の患者が入院を要した。
プレガバリン(リリカ)が違法薬物常用者の間でどのように理解されているか、・・プレガバリン(リリカ)はアルコールやベンゾジアゼピン系薬剤と類似した効果を有し、快楽目的の使用に「理想的である」とされている。
プレガバリン(リリカ)・・の使用は、既知の薬物乱用の経歴のない患者でさえ、依存や(危険ドラッグのような)乱用を引き起こしうる。
患者は十分な情報を与えられるべきであり、医療従事者もこれら薬剤の過度な処方要求を警戒すべきである。薬剤をざん減するための支援が必要であるかもしれない。」

HPの下記の記事も読み、リリカの依存・中毒・乱用に陥らないように、安全性の確認は医師任せにせず、必ず自分の手で行ってください。
医師が処方する薬で大勢の患者が薬物依存(中毒)に陥っている現状

上記の岡部哲郎医師によると、ベンゾ系の薬剤は、最短、4週間で依存性が形成されるそうです。そのため、欧米では、処方期間は最長で2か月など、日本よりはるかに短く定められています。(下記サイト参照)
http://www.danyaku.jp/entry/2014/03/24/192113
http://kei-kitano.blog.so-net.ne.jp/2013-06-26-1

線維筋痛症はそれじたい大変な病気です。もし、その上に薬剤依存・中毒になれば、困難な病気の上にさらに、減薬、断薬という極めて重い試練が、患者の上にのしかかることになります。
上記のように、日本では大量のベンゾ系の薬剤が投与され、大勢の中毒患者が生み出されていますが、プレスクリル誌に載っているような、薬物中毒監視センターや、中毒患者のための断薬施設が整備されておらず、医師の意識も含め、患者を薬物依存から守る体制が構築されていません。
「医師が、優れた鎮痛効果で安全性が高いというメーカーの宣伝を信じ、(患者に)節度なく処方されているという話がある」一方で、中毒になった患者を救うバックアップ体制は、ほとんどないといっていいのです。ですから、患者が薬の副作用や禁忌について知ることは、何をおいても大事になります。

ページのトップへ戻る
inserted by FC2 system