CSSを知らない医師の方へ
ベンゾジアゼピン系の薬について

・CSS(central sensitivity syndromes)は、線維筋痛症(FM)や化学物質過敏症を考える上で、とても分りやすい概念です。とくにFMを説明する考え方としては、世界標準ともいえるものです。

しかし、今の日本には、FMやCSSを知らない、あるいはこれに無関心な医師が多くいます。そして、それが現状では非常に多くの患者の不利益を招いています。

(CSSに関しては下記参照)
http://homepage3.nifty.com/fmsjoho/page010.html

患者さん向けの説明は、次のページに詳しく書いています。
http://homepage3.nifty.com/fmsjoho/page011.html

CSSがわからない、勉強したことがないという医師の方向けに、このページでは、2005年にアメリカで出版された医学書の目次を示します。

それぞれの章ごとに膨大なデータが集積されていますから、CSSが分らない、あるいは存在しないという医師は、この本を取り寄せてよく読み、疑問や疑念があれば、著者に連絡を取ることを勧めます。

基本になる医学書をみずにFMやCSSは存在しないという医師が、もしFMやCSSの患者を診た場合、知識がないことによる悪化や、新たなCSSの発症を招くことになりかねません。

『線維筋痛症とその他の中枢性疼痛症候群』目次
(Fibromyalgia & Other Central Pain Syndromes)

序:線維筋痛症と関連する諸問題
1.線維筋痛症の歴史
2.慢性疼痛の分類学:機構的分類に向けて
3.広範囲にわたる慢性疼痛と線維筋痛における疫学
4.中枢性過敏症候群(中枢感作症候群)の概念
5.慢性筋骨格痛(慢性局所疼痛を含む)における神経生物学
6.慢性の非神経障害性疼痛における神経伝達物質、サイトカイン、ホルモン、免疫系
7.慢性疼痛症候群に見られる自律神経系の機能障害
8.疼痛の機能
9.線維筋痛における筋及び末梢異常
10.慢性疼痛及び疲労における睡眠とその潜在的役割
11.線維筋痛症の症状と徴候:梗概
12.線維筋痛の神経学的特徴
13.頭部及び顔面の筋筋膜性疼痛症候群
14.線維筋痛症の心理社会的要因
15.小児の線維筋痛症
16.炎症性及び内分泌系障害における線維筋痛
17.慢性疲労症候群
18.機能的腸障害の拡散
19.線維筋痛と尿生殖器の関係
20.慢性腰痛
21.反射性交感神経性ジストロフィー症候群
22.慢性の神経筋痛における心的外傷の役割
23.論争中の疾患と線維筋痛症との関係
24.広範囲にわたる慢性疼痛患者の評価
25.慢性局所疼痛の鑑別診断
26.線維筋痛症の研究に用いる評価手段と効果指標
27.線維筋痛症と関連症状における生活習慣及び環境的介入
28.運動とリハビリテーションによる摂生の効用
29.慢性疼痛に対する認知的及び行動的アプローチ
30.線維筋痛と非神経障害性疼痛の局所療法
31.慢性疼痛の全身療法
32.線維筋痛症の補完代替医療
33.線維筋痛症が社会に与える経済的影響、および障害に関する諸問題
34.予後
35.今後の研究の方向性
付録索引

CSSを知らない医師に向けては、NIH(アメリカ国立衛生研究所:アメリカ医学研究のトップ機関)に勤務しながらFMを学んだ戸田克広医師によるレポートもあります。

「脊椎外科医には線維筋痛症と慢性広範痛症の知識が必須」 戸田克広著
http://p.booklog.jp/book/61950/read

(著者によれば、脊椎外科医は、国内では整形外科医が多いということです)

上記からの引用

「膨大な時間と経費をかけて、(海外ではFMやCSSに関する)研究成果が報告されている。

PubMed(キーワードで英語論文を検索できる無料サイト)を使用すれば時間も経費もかからずこの研究成果を得ることが出来る」

誰でも無料で、時間もかからずに調べることができるわけですから、海外の研究について自分で勉強しないのは、患者のことを考えない、医師の怠慢ということになります。


日本の医学教育への苦言

医学部のカリキュラムを見ると、FMだけでなく、CSS内他疾患である慢性疲労症候群(CFS)、化学物質過敏症(CS)、電磁波過敏症(ES)も盛り込まれておらず、今の医学部カリキュラムはこれらの疾患群に全く対応できていません。

今の国内の医学部教育には、他にも足りない点が多く見受けられます。

FMや慢性疲労症候群(CFS)、化学物質過敏症(CS)、電磁波過敏症(ES)などのCSSは、上記医学書の記述も見ても、環境からの刺激(温度やにおい、化学物質など)や物理的刺激(機械的、電気的刺激)などが、発症や悪化に関係します。

環境悪化が人体に及ぼす影響は、医学以外の分野では様々な研究が蓄積され、その危険性を示す論文も数多く出されていますが、病気や治療について詳しく学ぶはずの医学部では、これらのことをほとんど教えません。

電磁波に関しても、スウェーデンなど欧米では危険性を示す研究が多く発表され、日本よりも厳しい規制がかかっていますが、日本では規制も緩く、医学部でもそういう海外の研究について教えないので、街を歩くと病院の屋上に基地局が林立しているという事態を招いています。


そもそも、今の西洋医学は、パスツールを始めとする、「ペスト菌やコレラ菌を抗生物質(薬)で叩く」という治療モデルから始まっており、身体から有害物質を除去する、あるいは有害環境因子を排除することで病気を回復させるという治療モデルが、そもそも存在しません。これは今の医療の大きな欠陥と言えます。

また、最近の科学によって明らかになってきた、約60種あるという必須栄養素不足によって病気を発症するという事実も、パスツール由来のこの治療モデルではまったく考慮されていません。

必須栄養素不足によって病気を発症する例としては、ビタミンB不足で起こる脚気、ビタミンC不足の壊血症が代表的なものです。

日本の医学教育は、これら西洋医学の治療モデルに足りない点を、そのまま引き継いでいる点で、大きな問題があります。


CSS患者さんの話では、発症時に、偏食による必須栄養素不足や、それによる代謝異常があったのでないかと疑われる例がかなりありますが、「薬で症状を抑える」という従来の治療モデルでは、CSSという病気の対策として不足なのは明らかです。

また、パスツール由来の医学モデルの限界が露呈したことで、アメリカなどではさまざまな代替補完医療が医療の流れを変え、たくさんの患者を集めていますが、今の医学教育にはそういう世界の流れへの言及もありません。

(アメリカの代替医療について・参考)
http://www.health-station.com/d-1.html

(米国・代替医療への道)
http://www.health-station.com/d-160.html

(米国における代替療法利用の現況)
http://www.health-station.com/d-152.html

【米国代替医療の推進機関NCCAMの近況を報告】

海外の流れに比べて、日本の標準治療は、いまだに薬治療がほとんどであり、大きく後れを取っています。その一方で、大学の授業では薬の副作用に関して、ほとんど時間が割かれていないというバランスを欠いた状況です。

ベンゾジアゼピン系の薬について

FM患者を診ている医師は、多量の安定剤や睡眠剤、精神薬などのベンゾジアゼピン系の薬を処方しています。

ですが、生理学を知るものなら誰でも分るように、薬は基本的に毒であり、長期に飲めば、腎臓や肝臓、消化器などを痛めます。

また、抗うつ剤、抗不安剤、精神薬、そのほか鎮痛目的で服用する薬の多くには、依存性があり、中毒を引き起こしやすく、次第に身体が耐性を獲得することで(同じ量ではだんだん効かなくなる)量が増えやすく、中止すると禁断症状があらわれたり、そのために中止が困難になります。

医薬ビジランスセンターや、精神医療被害連絡会など、そういった薬剤の危険に関して啓蒙を行っている医師や団体はたくさんあります。

FM患者のなかには、処方された薬によって、薬剤中毒・依存になってしまっている患者が大勢います。この問題に関して、医師による下記のような著書もあります。

「抗不安薬による常用量依存
-恐ろしすぎる副作用と医師の無関心、精神安定剤の罠、日本医学の闇-」 戸田克広著

http://p.booklog.jp/book/63494/page/2011096

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